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義経の思い出

  • 執筆者の写真: 恵琳
    恵琳
  • 2022年9月19日
  • 読了時間: 4分

更新日:2022年9月21日

そういえば、小6から中学卒業までは、歴史人物の肖像画の顔がすごく怖くて、こちらを睨んで来ているような気がした。多分当時の私が気苦労を重ねていたせいで目線がきつくなっていたから、肖像画もこちらを睨み返してきたのだろう。不思議なものだ。肖像画も意思を持つのか。


そして小6の私が特に怖かったのが、源義経の顔だった。義経のグウっとはね上がった眉毛、そして狐のように吊り上がり見開かれたどぎつい目。それが本当に怖くて怖くて、私は進研ゼミ小学講座のテキストの社会のページを見るのが辛くて仕方なかった。熱い汗をじっとりかいた手で、義経だけでなく清盛や頼朝の肖像画も一生懸命隠しながら解答欄を死ぬ気で埋めた。「歴史人物に睨まれさえしなければいいのに!」と辛くなって「キャアアアア!」と叫んだこともきっとあっただろう。記憶にないが。


そしていつしか私は、「義経に笑ってほしい、優しくされたい」と思うようになった。そして脳内に義経の笑顔を思い浮かべた。するとどうしたことだろう。あんなに彼が怖いのに、私は彼を好きになっていたのだ。


しかし私はその当時それを恋と認識していなかった。手足の先を冷やし、顔や耳を火照らせるあの感情を「邪悪な感情だ」「恋ではない」と断じ、義経を嫌いになろうと努めた。当時の私は、「恋とはあったかい安らぐものだ」と定義していたから、それに漏れるような恋は恋と見なさなかった。

私は義経関連の本を物置にしまい、彼のことを忘れようと必死になった。


しかし、やはり「義経を知りたい」という欲には勝てなかった。

私は父方の祖母と弟と母と一緒に、繁華街の本屋にバスで出かけた。そして児童書コーナーでヒヤヒヤしながら講談社青い鳥文庫の『平家物語 夢を追う者』(時海結以/作、久織ちまき/絵)を手に取り、父方の祖母に買ってもらった。

家に帰った私はゾクゾクしながらページを繰ったが、「〇〇という人が〜〜をした」という客観的事実の描写が多くてつまらなかった。「私ならもっと具体的な会話文を交えて書くのに。つまんないな」と思いながら、そして、平家や清盛関係の部分は「あー興味ないな」と面倒くさがりながら、なんとか読了した。


また、岩波新書からアンコール復刊されていた『平泉』(斉藤利男/著)も父方の祖母に買ってもらい、ページをめくった。しかしなにせ大人向けの本なので、12かそこらの小娘には少ししか内容が分からなかった。しかしその本に、「奥州藤原氏は京都の藤原氏の子孫だ」ということが書いてあったのは覚えている。

ちなみに広辞苑第六版の「奥州藤原氏」の項目には、「もと亘理(わたり)氏」と書いてあり、京都の藤原氏の子孫ではないとの説を支持している。

結局どちらの説が正しいのだろう。


まあ奥州藤原氏の話はこのくらいにしよう。

私は中2の頃、父方の祖母から太宰治を勧められ、「人間失格」「走れメロス」など、新潮文庫のあの黒背表紙を大方集めていた。またブログで太宰の話もしたいと思う。


ちなみに父方の祖母は本にお金を惜しまない同人作家だったが、今年2月に亡くなった。私の世界に穴が空いたようで寂しい。



それにしてもあの太宰コレクションが義経コレクションもろとも親によって勝手に捨てられたのには強い憤りを感じる。


子供は親の所有物ではなく、一人の独立した人間である。だから子供の持ち物を管理する権利は子供にある。そのことも分からずに、子供が集めた本を好き勝手に、自分の都合だけで「要らん」「邪魔や」と判断して捨てる親は駄目だ。何もわかっていない。抄訳でもいいから、「子どもの権利条約」を読むことを強く勧める。


子どもの権利条約 日本ユニセフ協会抄訳


そういえば父親は、「権利権利言うてる奴にろくな奴はおらんかったぞ」と私の前で口走ったことがある。

それでは私のような社会活動家はどうなるのだ!

権利を主張する人達は決してろくでなしではない。世界を変えようと闘う素晴らしい人たちだ。

そんな私達を馬鹿にするとは……この憎っくき小市民め……!


確かあの父親は、太宰コレクションや義経コレクションを捨てた理由を私に訊かれたとき、こうも言っていたっけ。

「お前の金で買うた本ちゃうやろ」

ふざけるな。

 
 
 

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