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濱田浩一郎『小説アドルフ・ヒトラー』の一部を大阪弁でリライトしてみた

  • 執筆者の写真: 恵琳
    恵琳
  • 2021年12月1日
  • 読了時間: 3分

濱田浩一郎の『小説アドルフ・ヒトラー』からの抜粋(インスタグラムより) https://www.instagram.com/p/CVRoKzRl5vI/?utm_source=ig_web_copy_link

父「なんだこの成績は。なぜ幾何学を学ばないのか」 アドルフ「興味がないからです」 父はアドルフを押さえつけ、馬乗りになって、殴りつけた。

全然面白くないので自分なりにリライトしてみる

 あの忌まわしい親父がノックもせんと、俺の部屋に、俺の聖域に入ってきよった。 「なんや勝手に入ってくんなや!」 「お前学期終わったやろ。成績表見してみい!」  部屋に勝手に入られただけでも腸が煮えくり返る思いやのに、親父は俺の制止も抵抗も聞かんと、時には反撃に出たりしながら、俺の絵で散らかった机を勝手にガサゴソと探って散らかした。俺は親父を両手で突き飛ばそうとしたけど、びくともせなんだ。今度は俺が突き飛ばされた。  結局親父は机の上に成績表を見つけられなんだ。俺はアホやなあと思い、笑いを一生懸命噛み殺しながら立ち上がって、ベッドに放り出された通学鞄から成績表を取り出した。  親父はそれをバッと奪って、しばらくしかめっ面でそれを眺めとったが、ふいにこっち向いてこない言うた。 「何やこの成績は」  やっぱし言われると思た。 「なんで幾何学を真剣にやらへんのや」  俺は澄ました顔で言うた。 「興味ないから」 「何やとぉ?」  次の瞬間、親父は俺の体を突き倒して、腹の上に馬乗りになってボコボコ殴りつけよった。殴られるんはいつものことやし、慣れてるつもりやったけど、例に漏れず言葉に表されへんくらい痛かったし、息が苦しかった。骨何本か折れるんちゃうかと怖くなった。  俺は本気で、死にたい、解放されたい、と神様に願た。痛覚がなくなればええのに、ほしたらこいつに勝てる、と本気で思た。  けど結局こいつは俺が気絶するまで殴り続けるつもりや。ああ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……殺す気か!! お前が死ねクソが!! 殺すぞ!!  こうして頭の中で死を願て、神に祈って、暴言を吐きながら、俺は親父からの攻撃をやり過ごして、復讐の機運を高めるのや。  ああ、親父も年のせいか疲れてきたみたいや。やっと俺を殴る手が緩み始めて、止まった。  俺も親父も、荒い息をついた。俺は、ハハハ、年やな、と乾いた笑い声を立てた。  親父がハアハアという吐息混じりに言うた。 「今日は、こんくらいに、しといたるわ、ボケ」  親父はコツコツと靴音を立てて、ドアの方へ歩いてった。そうしてドアを開けて、部屋を出る直前にこない言うてとどめ刺しよった。 「勉強せえよ!」  バタン、っちゅう音聞いて、思わず鼻の奥がツンとして、涙と鼻水と嗚咽が漏れ出した。 「俺の体をなんやと思っとんのや! 俺はお前のサンドバッグちゃうねん!! アホが!! 死ね!!」  俺はしばらく床に寝転がって、涙が枯れるまでおいおい泣いた。鼻水を手の甲で拭ったら赤かった。  勉強とか正直どうでもよかった。ただ親父を殺して画家になりたい。それだけやった。

 おかんがやってきた。おかんは騒ぎの落ち着いた頃にしかけえへん。俺はおかんの柔らかい胸に顔を埋めて、おかんの甘い匂いをかぎながら、おかんの情けなさにむかむかしとった。


注 濱田浩一郎は極右の作家です。お読みにならないことをおすすめします。私も彼の『小説アドルフ・ヒトラー』は冒頭だけ読んでやめました。のっけから面白くなかったのです。また、私のこの文章は史実に基づいているとは限りません。間違い等あると思います。お気づきの点がございましたらコメント欄にお書きください。

 
 
 

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