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『丸天井の下の「ワーオ!」』感想

  • 執筆者の写真: 恵琳
    恵琳
  • 2022年8月31日
  • 読了時間: 2分

懸案の児童文学『丸天井の下の「ワーオ!」』(今井恭子(作)小倉マユコ(絵)くもん出版)、ようやく読了。


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実はこの本、何年も前から気になっていて、図書館で何度も借りていたけれど、なかなか読了できずにいた。

なぜなら主人公・土方マホが凄く生意気な少女だと感じて強い嫌悪感を抱いていたからだ。

作中でマホは、自分のことを天才だと思っていて、町の博物館に展示されている同級生の図工作品を「がらくた」と容赦なく一蹴するのだ。

しかし、読み終えた今では全く違う印象を抱いている。


こんな明るいディスレクシア小説、初めてだ。


実は、あんなにお転婆で生意気で強気なマホにも、ディスレクシアという障害があった。ディスレクシアは発達障害のうちの学習障害に属し、難読症とも言われる。

読み書きに非常に支障をきたす障害だ。どうやら眼球の動作に問題があるらしく、難しい漢字が書けなかったり、「たわし」を「わたし」と読み間違えたりするらしい。


そんなマホは、たまたま街の小さな博物館で、中学生の少年・江田正樹に出会う。

建築家志望の彼は、祖父の造ったこの美しい博物館がまもなく取り壊されることを知って、在りし日の姿を保存しておくために、迷いのない線で博物館を内から外から、様々な角度と視点からスケッチしていたのだ。


そして一方のマホは、博物館に展示されている自分の図工作品であるミトコンドリア・イヴ(全人類のルーツとなったとされる女性)の頭蓋骨をもとに、正樹の前でイヴの物語を語り始めるのだった。


「文字を持たない民族に生まれたなら、どんなによかっただろう。そこで、わたしは語り部になるのだ」(p.121)


この子が大昔のアイヌやアボリジニだったらどんなに良かっただろうと思う。マホは太古の人類の特徴を今に受け継ぐ貴重な人なのだ。


ディスレクシアの主人公が出てくる小説は初めて読んだが、こんなに明るく誇らかにズンズン進むディスレクシア小説は初めてだ。この小説が初めてのディスレクシア小説で本当に良かった。

きっと作者の今井恭子さんは、暗くなりがちな障害の話を明るくするため、そして「障害」「ディスレクシア」という言葉にまといつく重苦しいイメージを吹っ飛ばすために、マホをあんなに明るくエネルギッシュなキャラクターにしたのだろう。

マホにも、正樹にも、作者の今井恭子さんにも、画家の小倉マユコさんにも、大きな拍手喝采を贈りたい!

ありがとうございました!

 
 
 

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